石膏像の棚 2013.07     
”T画伯”から、”石膏像を整理したい。整理棚を作ってほしい”と頼まれた。
T画伯のアトリエの片隅に、置かれている数体の石膏像。
見ごとなものです。

このままでは、ヤッパリかわいそう。
収納棚を作るにしても、せっかくのモデル像を箱の中にしまいこんでしまうのはこれまたかわいそう。

何とか、アトリエの壁面に軽やかな棚を設けて、飾りたいところだが、石膏像の重さに耐えられる構造が大問題である。

”ともかく、やってみましょう!!!”

引き受けたものの???
言うまでもなく、棚板を壁面に直角に支持する支持アームの取付幅を長くすれば、頑丈になるけれど、外見上”暑苦しい!、やぼったい!”
金具を使えばなんということはないのですが、やっぱり、木工で実現したいし、板材は1×4、2×4にしたい。
なかなか妙案が浮かばない。
ともかく作ってみることにした。現物を眺めておれば、なんか妙案が浮かぶだろう???
 
左が、完成の写真です。

壁面の上下に横桟を貼り、この横桟に2本の縦棒をセットしてあります。棚位置は自在です。

仕上げは、柿渋としました。
赤みを帯びた柿渋の古色蒼然とした風合いが、石膏モデルとよく合います。

”全体として軽やかで、なかなかヨイではないか”
”どんなものだ!!!”


以下に
課題である、重量を支える仕掛けを説明します

左が、加工を終わった板材です。
棚板は軽くするために”桐集成材(13mm)”を使っています。他は 1×4と2×4材です。
棚の骨となる背板です。
アームと棚板を埋め込む溝を切ってあります。
2個のオニメナットは縦棒への取り付け用です。
アームを溝に埋め込んで固定したところです。       
アームは、2本のダボを打ち込んで、固定しました。念のため、ビス1本を打ち込んでいます。

勿論、ダボは接着剤が固まってから、切り落とします。
これで、アームのせん断方向の強度は十分ですが、回転モーメントによる抜け方向には十分とは言い切れません。
なにか、アームの抜け方向力に対する補助機構が必要です。
とりあえず、棚板3枚を組み立てました。
棚板と縦棒を、仮組みしたところです。

案の定、これだけでは、背板の幅(80mm)が狭いため、棚に重量物を載せてみると、棚板がふらつき、剛性が低いです。
これでは、石膏像を載せたとき、撓んでしまうでしょう。
また、アームの抜けも心配です。


   
そこで、うらさん、考えました。


考え出したのが、左の”組み子”です。
ダボを直交させています。
これを、縦棒とアーム下部に入れ込みます。
片側のダボを、縦棒の取り付け穴に嵌めこみ、もう一方のダボでアームの下部を支えます。
棚板の下に”組み子”を入れ込んだところです。


これにより、アームにかかる垂直荷重が、組み子の横ダボを支点として、回転荷重として背板と縦棒の接合部にかかることになり、背板の幅が狭いことも、アームが抜ける心配もすべて払拭されます。

事実、棚板に垂直荷重をかけても、たわむことは無く、剛性が随分と高くなりました。安心して寝ることが出来ます。


完成です!!!。